ノロウイルスは人に感染性胃腸炎を引き起こすウイルスです。主に冬場に流行します。ノロウイルスは頻繁に遺伝子変異を生じ、年により流行株が異なることから一度ノロウイルスに感染した人も、再度ノロウイルスに感染することがあります。ノロウイルスの罹病期間は、流行株の種類や患者側の要因(血液型や免疫力など)に影響されます。
1. ノロウイルスの罹病期間について
感染後15〜48時間の潜伏期間の後に、発熱、腹痛、嘔気、嘔吐や下痢などの症状が現れます。通常、症状は1〜5日間程度でよくなります。
2. ノロウイルス検査について
保険診療で認められているのは65歳以上の方や3歳未満の乳幼児などに限られているため、その他の方が検査を受ける場合は自費診療となります。保険診療による検査は簡易キットによるもので感度が高くないため、陰性であったとしてもノロウイルスに感染している可能性は否定できません。感度の高い遺伝子検査もありますが、自費で2万円ほどかかるため特殊の場合を除いて行われません。
3.ノロウイルスの排泄期間について
下の図は、健康な人(医療従事者)と病気を持った患者さん(入院患者)ごとに、ノロウイルス性胃腸炎患者のウイルス排泄期間を遺伝子検査で解析した結果です。平均排泄期間は医療従事者が15.2日、入院患者が19.3日でした。中でも、小児や免疫力の低下した患者さんでウイルスの排泄期間が遷延する(3〜8週間)ことが明らかとなりました。
(Jpn. J. Infect. Dis., 2011, pp 107より一部改変)
4.ノロウイルス感染後の休職期間について
ノロウイルスに感染した場合の休職期間について、一般的な決まりはありません。理由として、
A 感度の高い検査が一般診療で行われていないので、本当にノロウイルス感染症かどうかの診断がつかない。
B 排泄期間と感染力についての知見に未だコンセンサスがない。
などが考えられます。しかし、ノロウイルスによる感染性胃腸炎は食中毒の原因となりますので、給食や食品を扱うお仕事をされている方の場合は遺伝子検査まで行い、ウイルス排泄がなくなるまでお仕事をお休みする必要があります。