糖尿病の温泉療法?

 10月30日に糖尿病アーベントに参加してきました。私は初めての参加だったのですが、これまで160回を数える歴史ある会のようです。アーベントの意味がわからずネットで調べたところ、Abendとは夕方から始まる音楽会・映画会・講演会の意味だそうです。お洒落なネーミングですね。

 今回は熊本大学の荒木先生が特別講演の講師でした。勉強になる話ばかりだったのですが、ヒートショックプロテインの話がとても面白かったので紹介したいと思います。

 糖尿病には、血糖を下げるインスリンの分泌が低下する1型糖尿病と、インスリンは十分に出ているにもかかわらず血糖値が下がらない2型糖尿病があります。インスリンの効きが悪くなる状態をインスリン抵抗性と呼びます。インスリン抵抗性には色々と原因があるのですが、細胞レベルでヒートショックプロテイン72の量が下がるとインスリンが働きにくくなるそうです。熊本大学の内分泌・代謝内科では、ヒートショックプロテイン72の量を増やす治療を開発中とのことでした。

 そこで、これまでヒートショックプロテイン72を増やす方法がわかっていないかどうか調べてみると、運動がヒートショックプロテイン72を増やすようです。運動が糖尿病に良いのには科学的根拠があったのですね。

 一般的にヒートショックプロテインは熱により誘導されるのですが、何とお風呂に入ると糖尿がよくなるという論文が1999年に報告されていました(Hooper, New Engl J Med)。8名の糖尿病患者さんに週に6日間、37.8から41.0度のお風呂に肩まで30分間つかってもらい3週間後に血糖値を調べたところ、治療前は平均182 mg/dLあった空腹時血糖が159 mg/dLまで改善したそうです。中には体重が減り、インスリンを減らすことができた人もいたそうです。

 なかなか運動を続けるのが難しい患者さんもいますよね。入浴療法、温泉地の大分県にはぴったりの治療法ではないでしょうか。でも、のぼせないように注意してくださいね。

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