今週は九州に台風が上陸しました。前回お話したように、喘息を発症して受診される方が増えています。今回は、喘息の診断と治療についてのお話です。
どのような検査が必要ですか?
まず気管支喘息を診断するには、肺炎や心臓喘息など喘鳴や咳の原因となる他の病気がないことを確認することが大切です。そのために血液検査や胸部レントゲン検査が必要になります。また、喘息による炎症を調べるのに、血液検査で好酸球数を調べたり、喀痰の中の炎症細胞を調べたり、呼気中の一酸化窒素ガス量を計ったりします。
呼吸機能検査(スパイロメーター)は、喘息の診断や治療の評価に必要な検査です。喘息では、気管支拡張薬で呼吸機能がよくなるのが特徴です。薬を吸入する前後で呼吸機能検査を行います。
当院では、昨年から一酸化窒素ガス分析装置を導入しました。画面がユーモラスで、ゲーム感覚で出来る検査です。呼吸機能検査とちがい、あまり頑張らずに出来る検査なので皆様に好評のようです。
どのように治療しますか?
炎症をコントロールするため、比較的長い期間治療が必要になります。また、喘息発作(呼吸苦、喘鳴や咳など)が生じた際には、その都度、薬を追加する必要があります。
喘息を長期間コントロールする目的でステロイド吸入薬を使用します。炎症を起こしている局所で効き全身の副作用が生じにくいため、ステロイド吸入薬は世界中で使われています。喘息の症状が完全におさまるまで数週から数カ月間、吸入を続けます。治療を中止する場合も、喘息の再発を予防するには段階的に薬を減らしていく必要があります。また、ステロイド吸入薬の他に、病状に応じて抗アレルギー薬、気管支拡張薬や咳止めも併用します。
喘息発作(呼吸苦、喘鳴や咳など)が生じた場合には短時間作用型β2刺激薬を使用します。
季節の変わり目や、風邪をひいた後などに咳が長引く際は、喘息の可能性があります。気軽にご相談ください。