幸せになる方法

今回もサピエンス全史からの話題です。文明は人類を幸福にしたのか?というのが本書の一つのテーマです。結論は、中世と比べても人は幸せになっていない、というものです。
内閣府による「幸福度に関する研究会」が、日本人の幸福度について調べています。1978年からの日本人の幸福度調査の結果、この40年間で生活満足度や幸福度は上がっておらず、どちらかというと低下傾向にあるようです。皆さん、今と40年前の生活を比べてみてください。びっくりしませんか?
なぜ、人の幸福度はあがっていないのでしょうか。その理由も本書に記載されています。人は、脳内でセロトニン、ドーパミンやオキシトシンなどのホルモンが分泌される時に幸せを感じるそうです。しかし、これらのホルモンは時代とともに増えていません。すなわち、中世の人も現代人も脳内の幸せホルモンの量に差がないので、幸福度も変わらないというのです。
人は、今よりも幸せになることは出来ないのでしょうか。これまでわかっている、幸福度に影響する要素を調べてみました。下の表は内閣府の調査結果です。

日本では女性の方が男性よりも幸福度が高いようです。なんとなく理解できます(笑)。お金持ちが幸せなのも理解できますね。ただ、こんなデータもあります。約10年前のアメリカのデータですが、世帯あたりの年収が700万円までは収入が増えるにしたがい幸福度も上がっていくようですが、それ以上の年収があっても幸福度は上がらないそうです(出典は忘れました)。お金で買える幸せには限りがあるということですね。

一方、これらの要素が幸福度に与える影響には差があるようです。富や健康よりも、家族やコミュニティの方が幸福度に与えるインパクトは大きいそうです(サピエンス全史より)。
しかし、環境を変えるには難しいこともあります。そこで、幸せホルモンを増やす方法がないか調べてみました。以下は自力でセロトニンを増やす方法についてのまとめです(Young, J Psychiatry Neurosci, 2007)。
まず、考え方をポジティブにすることでセロトニンの量は増えるそうです。半分のコップの水をみた時に、半分あるのか、半分しかないのか、という話を思い出しました。
二つ目は、明るい日差しを浴びることだそうです。時間は30分から90分くらい。季節性うつ病や月経前症候群の治療にも応用されているようです。
有酸素運動もセロトニンをあげることが実証されています。ジョギングやウォーキングが良いのですね。
最後に食事についてです。セロトニンはトリプトファンというアミノ酸をもとに合成されます。しかし、どれだけ多くのたんぱく質を摂取しても脳内のトリプトファンは増えないそうです。これは、たんぱく質には他にも多くのアミノ酸が含まれるため、トリプトファンが優先的に脳内に取り込まれることがないのが理由だそうです。ただ、ラクトアルブミンという乳清に含まれるたんぱく質にはトリプトファンが比較的多く含まれているそうです。トリプトファンが枯渇しないように、牛乳やヨーグルトなどの乳製品をとることも大切なようです。
これなら、実践できそうな気がしてきましたね。
以上をざっくりまとめると、人の幸せは環境に影響を受けるものの、同時に自分で幸せを感じる力を育まないと幸福にはなれない、ということでしょうか。参考になりましたか?皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

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